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2023年5月2日
歯周病は、日本国民のおよそ70パーセントが罹患していることをご存知でしょうか。
歯周病を引き起こす歯周病菌は、全身疾患のリスクを高め、認知症の発症・進行させることが明らかになっていることを知らない方も多いかと思われます。
今回は、認知症と歯周病の関係と予防方法についてお伝えします。
脳は、人間のほとんどの活動に対して指令を出し、コントロールしている器官です。
認知症とは、この脳に障害が生じたり、病気になってしまったりすることで認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態のことを指します。
脳の老化による物忘れであれば、忘れたことを自覚しており、ヒントがあれば思い出せることが多いです。
しかし認知症だと、脳の細胞が死んでしまったり働きが悪くなったりしているため、忘れたことを自覚しておらずヒントがあっても思い出せません。
認知症と一言でいっても種類があります。
アルツハイマー型認知症は最も多く、脳の神経が変性し、脳の一部が萎縮してしまいます。
血管性認知症が次に多く、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって発症します。
障害が起きた脳の部位によって症状が異なるため、認知機能の一部は保たれていることがあり、”まだら”であることが特徴です。
レビー小体型認知症は、幻視が起きたり手足が震えたり、歩幅が小刻みになって転びやすくなるといったパーキンソン症状が現れます。
これらは「三大認知症」といわれ、アルツハイマー型認知症が70パーセント、血管性認知症が20パーセント、レビー小体型認知症が4パーセントと全体の約94パーセントを占めます。
日本における認知症患者数は、年々増加しており、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。
アルツハイマー型認知症は、脳の神経が変性し、脳の一部が萎縮してしまいます。
これは、脳内に溜まった異常なタンパク質によって発症します。
この異常なタンパク質のことを「アミロイドベータ」といいます。
通常、アミロイドベータは免疫細胞が攻撃することで分解され排出されます。
このとき、歯周病菌がたくさんいると、免疫細胞は歯周病菌を過剰に攻撃するため炎症が起こります。
この炎症物質は、免疫細胞自身を刺激してアミロイドベータを生成することが分かっています。
本来、脳には血液脳関門といわれるフィルターのような構造があり、不要な物質が脳内に入らないようになっています。
そのため今までは、アミロイドベータが生成されたとしても脳内に入る心配はないと考えられていました。
しかし、ラージといわれる受容体がアミロイドベータを脳に取り込むことが分かり、歯周病菌はそのラージを増やして脳以外の場所でアミロイドベータを生成し、歯周病菌とともに脳内に取り込むことが分かりました。
また、65歳以上を対象としたときに、入れ歯やインプラントを使用せず歯がほとんどない人は、歯が20本以上残っている人に比べて、認知症になるリスクが1.9倍にもなることが分かっています。
このことから、歯を失うと認知機能が低下することが明らかです。
認知症が発症する原因はさまざまですが、歯周病はその原因の中の1つだと考えられます。
つまり、歯を守り歯周病を予防することは、認知症を予防することにもつながるのです。
歯周病は、主にみがき残した歯垢が原因となって進行します。
歯垢とは、歯周病菌をはじめとする生きている細菌の塊のことをいいます。
歯周病を予防するためには、できる限り「みがき残し」をつくらないセルフケアが大切です。
歯ブラシだけでは、全体の歯垢のおよそ60パーセントしか取り除けていません。
残り40パーセント程は歯と歯の間や、歯周ポケットにあります。
そのため、「歯間ブラシ」や「フロス」などの歯間清掃具を使って、歯間ケアもする必要があるのです。
歯と歯の間や歯周ポケットにあるみがき残した歯垢は、時間が経つにつれて歯石となり、セルフケアでは取り除けなくなってしまいます。
歯垢や歯石は、歯医者で定期的に取ってもらうことが歯周病の予防に直結します。
歯周病は初期症状では痛みを伴わないことから、「静かなる病気」といわれています。
初期症状がないからといって侮ってはいけません。
症状は無くても静かに進行し続けます。
定期的に歯科検診や歯垢・歯石の除去といったクリーニングを受け、歯周病を予防しましょう。
また、歯周病治療が終わったとしても、3ヶ月に1回は定期的に検診を受けることをおすすめします。
今回は、認知症と歯周病の関係と予防方法についてお伝えしました。
歯の健康を維持することは、体や脳の健康を維持することにもつながります。
高槻市、茨木市、摂津市、交野市、寝屋川市、枚方市周辺で歯周病をはじめとする歯のお悩みを抱えている方は、一度当院にお問い合わせください。