口腔外科・親知らずの治療

高齢者の方は、
病気や障害をお持ちの方が
たくさんいらっしゃいます。

そのため、歯科治療を行う際は、全身的な管理を行いながら治療を進める必要があります。

当院は、一般の訪問診療では対応するのが難しい口腔外科的疾患をお持ちの患者様から、何らかの様々な全身疾患をお持ちの患者様の歯科治療にも対応しております。
認知症の患者様にも対応した治療を行っておりますので、安心して当院の訪問診療をご利用ください。

また、入院中の患者様に対しても、さまざまな診療科や他職種との連携を密に行い、周術期口腔機能管理や口腔衛生管理の介入を積極的に行っています。

何かしらの全身疾患をお持ちの患者様は、必要に応じて、他の科の医師とも連携を取りながら総合的に判定し、十分な医療管理のもとで歯科診療を行います。

主な治療実績について

  • 持ち運び式のレントゲンで撮影を行い、適切に親知らずの抜歯をします。
  • 血液サラサラの薬を内服されている患者様にも対応しております。
    抜歯を行う際は、薬を継続したまま行っています。
  • 腫瘍、嚢胞、口腔粘膜にできる疾患の他に、歯が原因で起こる感染症や、外傷等の口腔外科的な疾患の治療も行っております。
  • 一般の訪問歯科では処置が難しい、下の顎に埋まっている親知らずの抜歯を行います。
  • 歯肉がかぶってしまい諦めがちな治療でも電気メスを使用して、手術を行います。被せものにも対応しています。
    従来の治療法と比べると、より良好な治療成績を収めることができます。
  • 口腔機能の低下を、他の科と連携しながら、予防、診断、改善します。
    高齢の患者様それぞれで、生活の環境や全身状態が異なりますので、それらを考慮しながら、個人の状態に合わせて口腔機能を適切に管理します。
  • 認知症高齢者の方の治療経験も豊富ですので、一般の訪問診療では対応するのが難しいと言われた方でも、ぜひ一度、当院にご相談ください。

高齢者の健康と
親知らずの抜歯に伴う
リスクについて

日本は近年、急速な高齢化社会を迎えております。
それに伴い、健康寿命を長くし、高齢者の生活の質を上げることが非常に重要だと考えられております。
大きな楽しみの一つとして食事があげられます。
自分の歯でしっかりと物を噛んで食べたいと望んでいる高齢の患者様は少なくありません。

しかし、せっかく残っている大切な歯も、歯周病になってしまうと痛みや腫れががひどくなり、物を噛むことが困難になります。
そうなると、苦痛を感じ、歯を抜いてしまいたいと希望する方もいらっしゃいます。
口腔内の状態によっては抜歯を行う場合もございますが、高齢者の方は、様々な疾患を抱えているケースが多いため、抜歯のリスクを伴う事があります。

【高齢者の全身状態】

・持病の薬の作用について

人は、高齢になると様々な病気を発症するリスクが出てきます。
3大成人病として有名な、がん、心臓病、脳卒中ですが、特にこの中でも「心臓病と脳卒中」は抜歯を行う際に注意が必要です。

なぜならこのような疾患がある患者様は、高血圧を予防するために血液をサラサラにし流れを良くする薬を飲まれているため血が止まりにくい傾向があるからです。

血液をサラサラにする薬を飲んでいると、症状によっては血が止まりにくく抜歯をしたあとの治癒が遅れてしまうリスクがあります。

しかし血液をサラサラにする薬を飲まれている患者様でも、その薬の種類や強さ、その方の体質などでも症状が変わりますので、薬を飲んでいて抜歯をしても、出血が多い方や少ない方、それぞれいらっしゃるのも実状です。

また歯周病に罹患すると、あごの骨を溶かしますので歯周病がかなり進行していると歯を支えている骨が少なく、歯が浮いている様な状態となっておりグラグラしてますので、抜歯をする際に出血が少ない傾向にあります。
逆にあごの骨にしっかりと支えられている歯は抜歯の際に出血が多い事が予想されます。

以前は抜歯をする時に血液をサラサラにする薬を飲まれている方の場合、投薬を数日間止めて抜歯をする事が多くありました。
しかし、現在はその方の症状にもよりますが、薬を止めてしまうリスクの方が危険と判断し、投薬を止めないで抜歯を行う事があります。
その際はしっかりと止血をしながら処置を行います。

・高齢者のお口の状態について

加齢とともに免疫の機能も低下してきます。
高齢者は、若い人に比べて傷の治りが遅く、骨も硬くなっているので歯を抜きにくい傾向にあります。
さらに、高齢者は抜歯後の予後の状態が悪くなってしまう事もあります。

【抜歯を希望される場合】

・歯周病による痛みについて

歯周病が進行すると、腫れや痛みと言った症状が出てきます。
さらに歯周病の症状がひどくなると、歯がグラグラして食べ物を噛む事も難しくなります。

そうなってしまうと、痛みや違和感に耐えられずいっそのこと歯を抜いて楽になってしまった方が良いと考える患者様も中にはいらっしゃいます。

しかし永久歯は一度抜いてしまうと生えてはきません。
歯が無くなってしまうとあごの骨に刺激が行かず骨が痩せてしまう原因にもなります。

歯周病の治療は、出来るだけ歯を失わずに残せる状態にして治療をしていくこともありますが、症状が進行すると痛みがかなり強く出てしまい歯を残す事が難しいと判断された場合は抜歯を選択する事もあります。

・部分入れ歯の不具合について

歯周病で歯を失ってしまった場合、まだ他に残っている歯も歯周病になりグラグラ揺れている事があります。
部分入れ歯は、虫歯や歯周病で歯を失った所を人工の歯で補います。
クラスプと呼ばれる『ばね』をかけて入れ歯を維持するのですが、他の歯で支えるため、周りの歯が安定していないと、バネのかかる歯や歯ぐきを痛めてしまったり、残存歯に痛みが出てくる可能性があります。

部分入れ歯は、歯科医院で不具合が無い様に調整しますが、しっかりと歯に固定されている訳ではないので、安定感も少ないため食事をする時は違和感が多少なりともあります。

クラスプがかかる歯は、入れ歯を支えなければいけないため、より歯に力がかかるためストレスもかかります。
入れ歯を支える歯に痛みが出てしまうなら、抜いた方が良いのでは?と思われる患者様もいらっしゃいますが、残っている歯を歯周病の治療をすることで大切にし、部分入れ歯も調整を行う事で症状が改善する場合もあります。

歯が無い期間が長いと、食べ物を食べても骨に刺激が伝わらないので、あごの骨が痩せる原因となってしまいます。

【抜歯リスクの対策】

心筋梗塞や脳梗塞の患者様の場合は、気候などにも注意が必要です。

なぜならこれらの疾患は血管が詰まって起こる病気だからです。

血小板凝集能とは、ケガをして出血をした時に血液が固まる能力の事を言います。
血小板凝集能の値は午前中に高くなり午後から低い値になる傾向にあります。
つまり、午前中は血が固まりやすい時間帯となります。
特に冬場の午前中は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなるため注意が必要です。

抜歯をする際は、上記の事も加味しながら判断し、昼食後に落ち着いた時間帯で処置を行うのが望ましいです。
特に冬場は寒暖差が大きく通院時の負担もありますので、その辺も考慮して抜歯は午後から行うと良いでしょう。
抜歯後は、麻酔の効果がきれるまで2~3時間程度かかりますので、その間お食事は避けた方が良いです。

高齢者の方が抜歯をされる時は、事前に持病の有無や飲まれている薬は無いかを確認し、体に負担が無い様な状態で行う事がリスクを軽減するためにも重要になります。

歯を残す事がどうしても難しい場合は、全身疾患や飲まれている薬など色々な配慮が必要です。

抜歯をしても残りの歯が歯周病で悪くなってしまわないように、出来るだけ歯を残せるようにお口の環境を整えてあげる事も大切です。

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