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2023年8月2日
何歳になっても、上下左右欠けていない白い歯を維持したいと願う人は多いと思います。
しかし、多くの人がある程度年をとった段階で歯を一定数失ってしまいます。
なかなか難しい歯の本数維持ですが、実は若いころからのちょっとしたケアだけでもかなり残せる歯の本数に差が出てきます。
もちろんある程度既に歯が抜けてしまっていても、歯が残っている限りまだ歯抜け予防は間に合います。
この記事では、歯を健康に保つメリットや保つための方法、また歯周病について解説して予防する方法までも紹介します。
歯が健康であることは、食事や会話を楽しむために必要不可欠です。
歯で食べ物をしっかり噛むことで、唾液が分泌され、消化・吸収を助けてくれます。
また、食べ物を摂取することは、生命維持にも必要不可欠であり、体や心の健康にも大きく関わっています。
さらに、咀嚼によって肥満の予防や味覚の発達、全身の体力向上などの健康効果も期待されます。
80歳になっても自分自身の歯を20本以上残そうという取り組みである「8020運動」によって、高齢になっても20本以上の自分の歯を維持していれば、ほぼすべての食べ物をおいしく食べられると考えられています。
逆に言えば、歯が不健康であるとこれらのメリットを失うだけではなく、その後の人生においても相当苦労します。
しかし、日本人の80歳時点での平均歯数は13.9本であり、20本以上の歯を維持できている人は38.3%にとどまっていて非常に少ないことがわかります。
したがって、継続することは難しいことですが、歯の健康を保つことは非常に重要なのです。
ここでは歯を失う最も大きい原因の一つ、歯周病について解説していきます。
歯周病は、歯肉や骨の炎症により、歯の周囲が徐々に破壊される病気です。
ほぼ全ての成人(20歳以上)の約70%がこの疾患にかかると言われています。
この病気は、歯と歯茎の間にある歯肉溝が適切に磨かれず、細菌が溜まって感染することで引き起こされます。
歯周病は自覚症状がほとんどなく進行するため、「サイレントディジーズ」とも呼ばれます。
一般的に、「噛みにくさ」「腫れた歯肉」「歯や歯肉の痛み」といった症状が現れる時には、既に歯周病が進行し、歯を抜く必要があるケースも多くなります。
もし自分自身で気になる口臭や朝の口の中のねばつき、歯磨き中の出血、腫れた歯肉や後退した歯肉、歯がグラグラするといった症状がある場合、歯周病の可能性があります。
歯周病のリスクは、歯磨きの不十分さだけでなく、糖尿病や喫煙、歯ぎしりや不良な噛み合わせ、ストレス、長期間の薬の使用、一部の歯の欠損、口呼吸などにも関係しています。
これらの要素がある人は、歯周病にかかるリスクが高く、進行が早い可能性があります。
以下に、項目別に5つの健康への影響をご説明します。
歯周病の原因となる細菌が刺激を与え、血管内で物質の塊が形成されることにより、血管が硬くなり通り道を狭めます。
この状態では、心臓の血液供給が困難となり、心筋梗塞など致命的な心臓病を引き起こす可能性があります。
また、脳血管が閉塞する脳梗塞の発生リスクも、歯周病のある人はない人に比べて3倍近く高いと言われています。
メタボリックシンドロームは、男性ではウエストが85センチメートル以上、女性では90センチメートル以上であり、血圧、血糖値、血中脂質のうち2つ以上が異常な状態を指します。
歯周病の病巣から放出される物質は、血糖値を上昇させます。
そのため、歯周病がメタボリックシンドロームを悪化させ、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを増加させる可能性があります。
糖尿病患者の多くが歯周病を併発していると報告されており、歯周病は糖尿病の合併症の一つとされています。
さらに、歯周病が糖尿病を悪化させることが明らかになっており、歯周病の治療によって糖尿病の改善が可能であることも分かっています。
妊娠期は歯周病にかかりやすい時期とされていますが、歯周病のある妊婦は通常の7倍のリスクで低体重児や早産のリスクが高まると言われています。
歯周病の原因となる黄色ブドウ球菌や連鎖球菌は、関節炎や腎炎を引き起こす菌としてもよく知られています。
したがって、口内の細菌や炎症物質が血液に侵入することで、関節炎や腎炎の発症リスクが高まる可能性があります。
歯の健康を保つためには、歯を強くする食べ物を摂取すること、歯磨きをしっかり行うこと、定期的な歯科検診、禁煙等大きくわけて4つのポイントに留意することが重要です。
まずは歯を強くする食べ物を摂取することです。
カルシウムやミネラル、良質なタンパク質、ビタミンを含む食品を積極的に取り入れましょう。
乳製品や海藻にはカルシウムが豊富に含まれており、にんじんやわかめ、のりにはビタミンAが多く含まれています。
ビタミンCが豊富なピーマンや焼きのりも積極的に摂取しましょう。
また、繊維質の野菜や噛みごたえのある食べ物を食べることで、咀嚼回数が増え、あごの骨の発達と歯の表面の汚れの掃除が促されます。
次に、歯磨きをしっかり行うことです。
歯磨きは口腔ケアの基本ですので、正しい方法で行いましょう。
歯ブラシを細かく動かし、適度な力で磨くこと、各歯の全面を磨くこと、歯に合わせて歯ブラシの角度を変えることに留意しましょう。
特に、歯と歯ぐきの間、歯と歯の間、前歯の裏側、奥歯の後ろ側、噛み合わせ面などは磨き残しが多いので、重点的に磨く必要があります。
そして、定期的な歯科検診も欠かせません。
歯のチェックやクリーニングを定期的に行うことで、自分では取り除けない歯石や歯周ポケットの歯垢をきれいにできます。
歯周病予防のためには、半年から1年ごとの検診が推奨されます。
また、かかりつけの歯科医を持つことで、歯や歯ぐきの変化に早く気づけます。
最後に、禁煙も歯の健康にとって重要です。
喫煙は歯周病の主なリスク要因であり、免疫力の低下や歯ぐきの血流悪化につながります。
さらに、タバコのヤニが歯に付着しやすくなり、歯垢の形成や虫歯、歯周病のリスクを高めます。
歯の健康を維持するためには、禁煙を心掛けましょう。
これらのポイントを意識して実践することで、歯の健康を維持し、体全体の健康にも貢献できます。
これまで歯周病や歯を健康に保つための方法について解説していきました。
特に最後の予防方法はやることが多くておろそかになりがちかもしれませんが、体全体から見るとほんの一部に過ぎない歯の健康が体全体のケアにつながることを考えると腑に落ちるのではないでしょうか。
もし歯周病や歯のケアに関して疑問等ございましたら、ぜひ当院までご相談ください。
あなたの歯の健康に真摯に向き合います。