ミュータンス菌と脳血管疾患の関係性

2024年3月20日

こんにちは、ほほえみ歯科訪問部です!

ミュータンス菌と脳血管疾患の関係性

ミュータンス菌は、私たちの口腔内に生息する細菌の一種であり、虫歯の主な原因として知られています。しかし、近年の研究では、ミュータンス菌が虫歯だけでなく、脳血管疾患とも深い関係があることが示唆されています。このブログでは、ミュータンス菌と脳血管疾患の関係性について、現在の研究状況を基に解説していきます。

ミュータンス菌とは

ミュータンス菌(Streptococcus mutans)は、口腔内に存在する数多くの細菌の中でも、特に虫歯を引き起こしやすい菌です。砂糖やでんぷんなどの炭水化物をエネルギー源として利用し、酸を生成します。この酸が歯のエナメル質を溶かすことで、虫歯が進行します。さらに、ミュータンス菌は歯垢(プラーク)の形成にも寄与し、虫歯だけでなく歯周病の原因にもなり得ます。

脳血管疾患とは

脳血管疾患とは、脳に血液を供給する血管に異常が生じることで起こる病気の総称です。代表的な疾患には、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、脳血管性認知症などがあります。これらの疾患は、血管の詰まりや破裂によって脳組織への酸素や栄養素の供給が妨げられ、重篤な健康問題を引き起こします。

ミュータンス菌と脳血管疾患の関係性

近年、ミュータンス菌が脳血管疾患のリスクファクターである可能性が指摘されています。一つの理論は、ミュータンス菌が口腔内から血流に入り込み、脳へと運ばれることで、脳血管に損傷を与えるというものです。実際に、脳血管疾患の患者からは、ミュータンス菌のDNAが検出されることがあります。

ミュータンス菌が血管内で引き起こす具体的な問題には、炎症の誘発があります。炎症は血管の機能を低下させ、アテローム性動脈硬化(動脈壁の厚みが増し、硬くなる病態)の進行を促進する可能性があります。これは、脳血管疾患の発症に直結する重要な因子です。

また、ミュータンス菌は血小板の凝集を促進する性質を持ち、これが血栓形成のリスクを高める可能性があります。血栓が脳の血管を塞ぐことで、脳梗塞などの重大な状態を引き起こすことがあります。

予防と対策

ミュータンス菌と脳血管疾患の関係性を踏まえると、口腔衛生の管理が脳血管疾患の予防にも寄与することが分かります。具体的な対策としては、定期的な歯科検診の受診、適切な歯磨きの実施、フロスや歯間ブラシを用いた歯間清掃の徹底などが挙げられます。これらの対策は、ミュータンス菌の数を減少させ、口腔内環境を健康に保つことで、間接的に脳血管疾患のリスクを低減することが期待されます。

まとめ

ミュータンス菌と脳血管疾患の関係については、まだ解明されていない部分も多く、今後の研究が待たれます。しかし、現時点で分かっていることからも、口腔衛生が全身の健康、特に脳血管の健康に与える影響は非常に大きいことが理解できます。日頃からの口腔ケアが、予想以上に重要な健康維持の鍵を握っているのです。

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