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2022年7月16日
歯の神経を抜く治療についてよく聞きますが、実際にはどのような治療が行われるのでしょうか。
また、そもそも歯の神経とはどの部分でどんな役割があるのでしょうか。
今回は今後歯の治療を考えている方の疑問を解消するために、歯の神経を抜く根管治療について紹介します。
歯の神経とは、歯の中心に位置する歯髄のことです。
歯は最も外側のエナメル質の内側に象牙質、さらにその内側に歯髄があります。
最も内側にある歯髄には痛み、熱い、冷たいなどの刺激を脳に伝える役割があります。
また、歯髄には血管が通っていて水分や栄養を歯に送る役割があるのです。
歯髄には、水分や栄養を運ぶ役割以外にも、歯の異常を教える役割があります。
食事の際に歯が敏感になる知覚過敏も神経によるもので、歯髄は歯のあらゆる異常を知らせてくれる部分と言えます。
3層で構成される歯のうち、歯髄を抜くのが根管治療です。
この施術では、虫歯部分を削って取り除き、歯髄も露出させて同様に取り除きます。
抜いた後は、消毒した上で薬品を入れて虫歯の再侵入を予防します。
この治療を行うのは、主に虫歯が重症化した場合や知覚過敏が深刻な場合、歯に亀裂が生じた場合です。
虫歯による炎症は、そのままにしておくとリンパの腫れに繋がり、体中に健康上の悪影響が及びます。
それだけでなく、虫歯が歯髄に達してしまうと歯髄炎となり、さらに激しい痛みや神経の壊死に繋がってしまうのです。
また、これらの炎症がないにもかかわらず痛みを感じてしまう知覚過敏のケースでも、食事の際に苦痛を伴うくらい症状が重い場合は神経を抜いて改善していきます。
ただし、基本的に軽度の知覚過敏においては、根管治療はしません。
他にも、何かの衝撃で歯に亀裂が入ってしまい、亀裂が歯髄に達している場合も治療が必要な状態と言えるでしょう。
最悪のケースでは菌が神経に侵食し、炎症を引き起こしてしまうため早急な治療が必要です。
1つ目は、抜歯をしなくても良い点です。
根管治療における最大のメリットは自分の歯を残せることで、治療後は被せ物で噛む機能の回復を行うので、自分の歯をしっかりと残せます。
永久歯は抜いたら永久に生えてきません。
抜歯自体は簡単なことですが、それによって考えられる将来的なデメリットは非常に大きいと言えます。
一生ものの歯を抜くことなく問題の種である歯髄のみを取り除けるため、根管治療は自分の歯を守るのに最も適した治療方法なのです。
2つ目は、辛い痛みを解消できる点です。
炎症が痛みを感じる中枢である歯髄まで達した時の痛みは想像を絶するものです。
できることならすぐにでも、その痛みから解放されたいと誰もが思うことでしょう。
歯髄炎は脈打つようにずっと続く痛みや飛び上がるような痛み、眠れないほどの激痛などの症状があります。
そのような痛みも根管治療を受けることで、うそだったかのように収まります。
一方で、この治療には歯が弱くなってしまったり、痛みを感じなくなって異常を確認できなくなったりするデメリットもあります。
また、治すための費用も長期的に回数を重ねるにつれて高くなってしまうことも忘れてはいけません。
まず何よりも、若いうちからしっかりと歯をケアする習慣を続け、治療の必要がないように口腔環境を整えましょう。
歯科医師のお世話にならなくても良いように努力することが大切です。
ここまでは根管治療のメリットを紹介してきましたが、実際に受けたいと思っている方には必ず知っておかなければならないことがいくつかあります。
1つ目は、無菌化に努める必要があることです。
治療中は唾液が入らないように、うがいの回数を制限しなければなりません。
2つ目は、治療回数についてです。
各々の状況により個人差はあるものの、基本的に虫歯治療や被せ物などの治療と比べても回数が多いことを覚えておきましょう。
3つ目は、治療中に不快感があることです。
根管は非常に細いため、根管の状況によっては治療中に歯が圧迫されている感覚があるでしょう。
4つ目は、治療によって痛みや腫れが発生することです。
現在痛みがないケースにおいても、術後に腫れや痛みが出る可能性があります。
ただ、この症状は一時的なものなので過度に心配する必要はありません。
5つ目は、治療途中に放置した場合は悪化してしまうことです。
治療は基本的に完治するまで続けなければなりません。
もし途中のまま放置してしまうと痛みや腫れが出てしまい、歯を残せない可能性も出てきます。
口腔内の健康を維持するためにも、継続的な治療が必要であることを覚えておきましょう。
今回は、根管治療について紹介しました。
歯髄と呼ばれる歯の最も内側の部分に炎症が起こると、耐え難い痛みに襲われてしまいます。
一生生え変わらない自分の歯を守るためにも、根管治療を行う際には今回紹介した注意点を忘れることなく、継続的な治療を行っていくようにしましょう。